公道最速伝説の裏話
景勝地として知られる千葉県・中山。その麓に住むスペシャルウィークは常にボーッとしている高校三年生。ガソリンスタンドのバイトであり、運転免許を取得しながらも、親友のサイレンススズカとは対照的に全く車に興味がなかった。
ある日、バイト先の先輩・ゴールドシップとその幼馴染であるメジロマックイーンが所属する走り屋チーム『スピカスピードスターズ』に、関東全域制覇を掲げる『リギルレッドサンズ』が交流戦を申し込んでくる。走り屋としてすでに名声を挙げているシンボリルドルフ兄弟に率いられた彼らは格上の存在であり、同好会レベルの地元チームに勝ち目はないと思われた。
だがその明け方、最後まで練習に残っていた弟のエアグルーヴが、突然現れたハチロク乗りに下りで抜き去られる事件が発生。パワーで圧倒的に劣る旧車に敗れたエアグルーヴは、ハチロクを相手に出すよう要求し公式戦でのリベンジを誓う。
一方、ゴールドシップは地元のプライドを守るために、かつて伝説の走り屋と呼ばれた男・お母ちゃんに協力を依頼する。「ガキの勝負に手を出す気はない」と自身が出ることは拒否するも、ゴールドシップの走り屋としての熱心で真摯な態度を気に入り、当日に援軍をよこすと約束する。
交流戦当夜、中山競馬場。開始時間ギリギリになって、約束の援軍が到着した。お母ちゃんが営む『藤原とうふ店』と書かれたAE86・パンダトレノ。その運転席に座っているのは、お母ちゃんの息子、スペシャルウィークだった。
次々と現れる強敵。ウマ娘達を待ち受ける各地の競馬場。にんじんへの想い。ウマ娘としてのプライド、理念、情熱。
−今ここに、『中山のハチロク』伝説が幕を開ける。
こんにちは
わかざみです。前々から秘密裏に仕込んできた「公道最速伝説」、ついにお披露目となりました。制作期間は多分3か月ほど。ただ、結構中だるみの時期が挟まったのでペースとしては遅いです。
いやー難しかったですねぇ今回の音MADは。作っててめっちゃ楽しかったけど。何が難しかったかは後々話すとして、早速本編の方に入っていきましょう。
え?音MADはしばらくなしだったんじゃないかって?思いついたもんはしょうがないでしょ。
作るに至ったきっかけ
「ウマ娘みんなやっとるなぁ…うまぴょい伝説のMADとかも見るようになったし原曲聞いたけど面白そうだなぁ…でもゲームやる時間無いよなぁ…」
「…そういえば、前奏の『うー』って所、車のエンジン音に似てね…?」
本編解説
0:00~0:21(レース開始前、カウントダウンパート)
この辺は裏で流してる音声に合わせて元動画をカットしてつなぎました。元動画はカウントダウン開始のシーンからスタートまで1分以上あったと思います。さすがに一期のトリのバトル、藤原拓海vs高橋涼介なだけあってスタート前の緊迫感が違います。ただ、そのシーンを全部入れてしまうと音MAD的によろしくないのでカット。しょうがないね。
0:21~0:34(前奏)
割と力を入れたシーン。前世*1はコラ画像を作ってたので、この辺の画像制作自体は慣れたもので、ちょちょいとやりました。シンボリルドルフのコスプレをした高橋涼介はかなりの自信作です。完成した画像を見て、ひとりでゲラゲラ笑っていられるくらいの完成度にはなったかなと。
問題は素材の発掘で、画像の切り抜きより素材の発掘の方が時間がかかったケースというのがいくつか見受けられました。特に高橋啓介とスピードスターズの3人は難産で、スピードスターズの3人に関しては画面に出てくる時間が短いという理由で素材の発掘を諦めました。まっすぐ切れた耳のラインは僕の敗北の証です。
一方高橋啓介に関してはうまい事行きました。使った素材は以下の2つ。
まずこれらの画像を綺麗にするために、「waif2x」という誰でも使える外部ツールを使い、ノイズを除去し、画像サイズを拡大させます。すると見違えるほどきれいな画像が出力されます。マジおススメ。
ただやりすぎるとなんかぬめってなるような画像になってしまうので注意。啓介のとか結構怪しい。
次にGIMPを起動し、エアグルーヴ側の「顔と首にあたるパーツ」をくりぬき、そこに左右反転させた啓介の顔をぶち込みます。完成!
Q.いや、くりぬいた顔のパーツと髪に隙間ができて気持ち悪いんだけど…
A.その通りです
顔だけ切り抜くタイプのコラ画像で一番厄介なのがこれで、顔の形が合致するなんてまずありえないという前提のもと作る事になります。で、一番手軽な対策が「拡大/縮小してどうにか空白部分を隠す」なのですが、「顔の形に違和感ができてしまう可能性がある」という弱点を克服できません。一生これと戦い続けることになります。僕も案の定それに苦しめられましたが、ある方法を考え、解決しました。と、話はいい所なんですけど、これ以上話すと長くなりすぎるので実際どうやって作ったかは、別の記事で話します。この記事がちょっと長くなりすぎた。すまん
【追記】
できました
0:34~0:50(vs板金王パート)
使用曲:RUNNING IN THE "90S"→BURNING UP FOR YOU
めっちゃ頭を使ったパート。かなり力を入れたシーンとなっております。何に頭を使ったかといえば、「セリフ」。これに尽きます。
もともとうまぴょい伝説は「ノリが良くてハイテンポ」な感じだなぁって思っていたので、実際に取り掛かる前からノリを意識しようと思って制作に取り掛かりました。
まず、中里戦で発したセリフを抜き出して、メモ帳に書き殴ります。次に同じメモ帳にうまぴょい伝説の歌詞を書き出し、どこで曲の小節が切れるかをある程度分かるようにしておきます。そして最後に、歌詞に合ったセリフを突っ込むといった具合に制作を進めていきました。
多分ここまでは普通の事をしているだけかなって思っています。が、僕がここで一番話したい事はそこじゃないんです。僕が話したいのは、「セリフ抜き出しのやり方」ではなく「セリフの抜き出し方」、言い換えれば「どんなセリフを選ぶか考える方法」です。
今からこの下に本物の歌詞と偽物の歌詞を書きます。謎の単語かつリズムに合わせた不自然な空白があるので見づらい部分もあるかもしれませんが、その辺はご容赦下さい。ちゃんと理由があります。
おひさま ぱっぱか かいせいレース
sトレートd tぎったら もったいねぇ
ちょこちょこなにげに (そーわっ So What)
おれは バトルが したいんだ
だいいち だいに だいさん しー ごー
ほんとのsタートh コーナーn hいってから
(だんだんだんだん でばんがちかづき)
(ふっとうしたよuな ハイテンション)
めんたまギラギラ しゅっそうです(はいっ)
ハチロクサンニーn つ い ていけない
きょうも めちゃめちゃ はちゃめちゃだ(ちゃー!)
てい そくコー ナーd さが ひら く
ガチおいこみ(とうしつカット)
さをつめてる(こうそくこーなー)
コメくいてー(でもやせたーい)
むかつくぜ (いかすかよ)
あのこは(ワッフォー)そのこは(ベイゴー)
そとから(ウロチョロ)めざわり(たまんね)
どいつも こいつも あらら (リバンドー)
hしぜんな つっこみ あまくなるんだ
なかないで (はいっ)ふくんぢゃねー(おいっ)
hいれないていどに よせるだ け
あかちんぬっても(なおらないっ)(はーっ?)
インにはこねぇな(【安田】)
ある規則に基づいて一部文字を太くしています。まぁわかると思いますが、母音が同じ個所を太くしています。今回、僕がこだわったのはこれで、「文字数だけでなく、元の歌詞に母音が合致する箇所を含んだセリフ」を可能な限り意識的に配置しました。この試みは、制作中に(これできるだけ母音を合わせたセリフを選んだ方がリズムに乗れるし聞きやすいんじゃね?)という思いつきから始まりましたが、うまく機能したんじゃないかなって個人的には思っています。『めんたまギラギラ出走です』を『仙川二郎はご馳走です』とか『天神橋筋六丁目』とか『キンタマキラキラ金曜です』とか
替え歌で歌ったら気持ちいいと思うんですよね。それと同じようなもんだと思います。
文字数を合わせるだけでも十分でしょうが、何か物足りないなぁって思った時、この方法を頭の片隅に入れておくとどこかで役に立つときが来るかもしれません。とはいえ、内容をちゃんと通じるようなものにした上で字数を合わせ、さらに母音も合わせるようにセリフを抽出するのは労力ハンパないですし、素材も潤沢じゃないと厳しいと思いますし、そして何より地味だし労力に見合うかも微妙ですが、僕はハマれば強いと思っているので是非お試しあれ。この手法*2はこの後も出てきます。
話を続けましょう。前回の動画の文字表現があまりにも酷いと。手を抜いてるつもりはないんですけど、さすがにこれは自分でも(これ直した方がいいなぁ)って思う出来だったのでここは頑張りました。前奏パートの歌詞部分からすでにそうなのですが、サイズの変更を結構派手にしてます。昔の僕は「え~これ一つ一つ文字を設置しないとできないじゃ~ん」って敬遠すると思いますが、Aviutlの文字を入力する欄に『<s64>ヴ<s72>ヴ<s80>ヴ<s88>ヴ<s96>ヴ<s104>ヴ<s112>ヴ<s120>ヴ<s128>ヴ<s> (うまだっち)』といった具合に入力すると、わざわざテキストをぶち込まなくとも文字単位でサイズ変更や色変えなどができたりします。詳しくは『Aviutl 制御文字』で検索!
ヘビーな文章になって申し訳ない。これが最後です。映像の組み方の話をします。これは決めていたことがあって、「初見の人でもわかるような映像の見せ方をしよう」といったことを頭に入れながら作ってました。『外からウロチョロ』のシーンは、最悪中里の動画一本でいいと思ってます。ただ、ハチロクが外から突っつくシーンがちゃんとあるのでそれを何とか落とし込めないかと考えてあの映像に仕立て上げました。正直情報量が多すぎる感じもしますし知名度も高いバトルだと思うのでそこまでする必要無かったかなって思いました。音MADって、難しい。
0:50~0:59(悪意ある編集によって噛ませみたいなキャラになった須藤京一パート)
使用曲:MAKE MY DAY
このパートは『右コーナーがヘタクソ♪』が全てです。他に話すことがあるとするなら、場面が変わったので使うフォントも変えました。フォントって使い分けるだけでも雰囲気とか変わるのでたくさん使って損はないかなって思ってます。
0:59~1:09(仕掛けるのはこの先の33コーナーだ!パート)
使用曲:CRAZY FOR LOVE
このパートは『君の愛車が!』が全てです。他に話すことがあるとするなら、場面が変わったので使うフォントも変えました。フォントって使い分けるだけでも雰囲気とか変わるのでたくさん使って損はないかなって思ってます。
1:09~1:14(サビ)
サビだけど構成はおとなしめ。86は切り抜きました。まぁなんだかんだいってサビで使ってる映像は素材として使いやすいですよね。欲を言えばもっといい感じに86を動かしたかったんですけど、素材的に厳しいものがありました。もっと切り抜きに適したシーンがあったかもしれませんが、今回はこれで許してください。次のネタまでのスパンを考えるなら、ネタを一つも入れないというのもありだったかもしれないし、何なら入れない方が良かったのかもしれない。
1:14~1:23(頼まれたってバトルなんかしねぇパート)
個人的に結構気に入っているシーン。『君の愛車が!』の時点でカラオケ字幕にしたのは、ここの不意打ちを悟られないようにするためです。この一連の流れに関して言うなら普通に仕込みとしてやってるので手抜きなんて言われると
基本的に僕は音MAD中にリズムを崩すのがあまり好きじゃないのですが、このネタに関しては思いついた瞬間に(あっこれしかない)ってさすがに思ったので、曲のリズムにできるだけ合うように音声を配置しました。編集そのものは簡素ですが、刺さる人には刺さるネタであるということを信じています。
1:23~1:28(俺にとってラインは目的ではなく単なる結果に過ぎないパート)
使用曲:LUCKY MAN
このパートはネタバレが全てです。他に話すことがあるとするなら、場面が変わったので使うフォントも変えました。フォントって使い分けるだけでも雰囲気とか変わるのでたくさん使って損はないかなって思ってます。
一つ言うならネタは仕掛けに行かなくてもいい気はしました。
1:28~2:01(ラストまで)
使用曲:THE TOP
Q.「うまぴょい伝説から逃げるな」
A.「確かに」
あとは着地だけ。ここは無難にハイライトでいいか~*3という考えでちょちょいと作りました。あらかじめ言っておきますが、「北条凛は、入れたかった」です。ただ、(プロジェクトDとして戦ったわけじゃないしなぁ…)という思いが先行し、保留の状態で作ったところ、北条凛抜きの方がパート割的におさまりがいいんじゃないかということになり、泣く泣く外しました。リメイクすることがあるならどうにか入れるかもしれませんが、ちょっとこの辺は考えさせてください。
あとはTHE TOPを流しながらvs涼介戦のラストを流して終了。
作ってて思ったこと
今回の作品を作るときにおいて意図的に起用したシーンがあって、「表情が変わるシーン」をできるだけ多く配置しました。
この頭文字という作品、ただキャラクターが何も考えず走っているというわけではなく、「86という旧車がなぜこんなにも速いのか」とか「レース終盤、敗色濃厚だがある特定の時にだけのぞかせる隙を突けないか」とか結構頭を使ってるんですよね。頭文字Dに限らずレースって意外と頭を使う事が多くて、マリオカートを例にとっても「このアイテムボックスの先にショトカがあるからこのキノコは交換せずに持っていこう」とか「1位がここを走ってるってことは今このタイミングでアイテムボックスを割ったらサンダーが出るかもしれないな」とか。まぁ公道バトルとレースゲームを一緒にするのは違うと思うんですが、仕掛けるタイミングとか自分が持ってる強み(今持ってるアイテムとか)を武器にするみたいな戦略の組み方は、両者とも共通の部分があると思います。
で、この仕掛けに行くポイントとか何かに気がつくシーンというのは物語の起承転結で見て「転」に値する部分、それも承から転だったり転から結への場面を移行させる重要なシーンだと思ったので、そこを外さない手はないよねっていう事で表情の変化を意識的に盛り込んだMADにしました。
そのことを踏まえると後半しんどいんですよね。見てて思ったけど表情の変化があまりない。ユーロビートがより激アツなだけに4th以降の表情の変化の無さは際立ってるように思えます。まぁ一番楽なのは4th以降をバッサリ切り捨てて1st~3rdまでを固めて作る事なのですが、それは違うなって思いました。4th以降をバッサリ使わずに切るほどイマイチな作品だったとまでは思ってはいないので。僕として「茨の道なのは分かってるけど、切らない選択肢は無いな。」といった感じです。ラストまでの項ではさらっと「あとは着地だけ」なんて言いましたが、上記の事を踏まえるとかなりのハードランディングだったことが分かるかと思われます。ハイライトも割と苦肉の策だったりします。まぁなんていうか、弾の数がちょっと足りなかったかなって感じですね。難しかった。
【2023/9/30 追記】
最近Youtubeで5th以降の作品が公開されていたので見返してみたのですが、5th以降に対する作品の考え方が変わりました。機会があればここのブログでお話できたらなと思っています。
おわりに
個人的には、だいぶ満足のいく出来だったかなって思ってます。「割と頭文字Dでこれ以上のMADは無理なんじゃない?」って感じなんですけどどうですか?まだいけます?僕は割と最善を尽くしたつもりなんですけど…
まぁとにかく、僕はこの動画をこの世に送り出せてよかったと思ってます。一応この動画は今まで作った動画の集大成的なポジションにいて、動画の最初と最後が物語として繋がっているとか、動画の最後にハイライトを持ってくるとか、後半失速していくとか。この動画は頑張って作ったので、この動画を見て前半部分だけでも笑っていただければなって感じです。
まだ喋りたいこと*4はあるのですが、さすがに記事の量が重たくなってしまうと思うので今回はこの辺でお開きとしたいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。ではでは